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宣伝が一番大事!?(仏教で大切なこと) [龍樹菩薩]

宣説大乗無上法(大乗無上の法を宣説し)

親鸞聖人の正信偈の一文で、
龍樹菩薩に関して書かれたものです。

どんなによいものがあっても、
宣伝しなければだれも分かりません。

難病の特効薬があっても、教えてくれる人がいなければ、
苦しみ死んでいかなければなりません。
薬があるのに、宣伝されないために助からない。
そんなことがあってはならないでしょう。
「宣説」の宣は宣伝、コマーシャルです。
龍樹菩薩が宣伝し説かれたことは、「大乗無上の法」という、
すべての人が、この世から未来永遠に救われる教えでした。


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●大乗仏教と小乗仏教

大乗とは大乗仏教のことです。
それに対して小乗仏教といわれるものがあります。
これは、仏教に二つあるということではありません。
小乗仏教は、釈尊の教えを聞き誤って伝えられた仏教であり、
大乗仏教は、正しく伝えられた仏教です。
真の仏教は、すべての人を救う、大きな乗り物のような教えです。
それを聞き誤り、小さな乗り物にしてしまったので、
小乗仏教といわれるようになったのです。

中でも顕著な誤りは、大乗仏教が自利利他をその精神とするのに対し、
小乗仏教は我利我利の考えに陥ってしまった点です。
利とは、利益、幸福のことですから、
我利我利とは、
“自分さえ助かれば、他人はどうなってもよい”
という自己中心的な考えです。
そこまで極端に思わずとも、
“まず自分が助からなければ。他人のことまで考えておれない”
という消極的・退嬰的(たいえいてき)な姿勢のことです。

真の仏教精神、大乗仏教は、
“自分が幸せになる、同時に他人も幸せにする”
“他人を幸せにするままが自分の幸せになる”
二つであって一つ。これが自利利他です。


●地獄へ行く人、極楽へ行く人

物好きな男が、ひとつ地獄を見に行こうと、
ノコノコ出かけた。
たまたま地獄は昼食時で、食卓の両側に亡者どもが、
ずらりと並んでいる。
地獄のことだから、どうせロクなものは食べていないだろうと、
テーブルの上を見ると、あに図らんや山海の珍味の山である。
にもかかわらず、亡者どもは、骨と皮にやせ衰えている。
「おかしいなぁ」とよくよく見ると、
一様に一メートル以上もある長い箸を持っている。
これでは、幾らおいしいご馳走が目前にあっても、
自分の口へは入れられない。

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次いで男は、極楽へ行ってみることにした。
丁度夕食時で、テーブルの両側には、
仲良く極楽の往生人たちが座っていた。
むろんご馳走は、山海の珍味である。
「さすがにみんな、まるまると肥えているなぁ」と思いながら、
ふと箸に目をやると、何とそのはしも地獄と同じように、
一メートル以上あるではないか。
一体、地獄と極楽とは、どこが違うのかと、
小首をかしげて食べ始めるところを見ていた。
すると、挟んだご馳走を自分が食べないで、
お互いに向こう側の人に食べさせているではないか。
「なるほど、極楽へ往っている人の心がけが違うわい」
と、横手を打って感心した。

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●世の中で成功する人は

これはもちろん例え話ですが、
仏教では、我利我利亡者の未来は暗黒の地獄といわれます。
そして、光明輝く浄土に向かう者は、
相手も生かし己も生きる、自利利他の大道を進みなさいと教えられます。

商売でも、自分の利益ばかりを求めている人は
いっとき儲けることはできても、
「ドカ儲けすりゃ、ドカ損する」で、やがて財を失っています。

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ある成功者に、秘訣を尋ねると、こう語ったそうです。
「人は丸い風呂に入ったとき、お湯を胸元にかき集める。
すると湯はわきから逃げていく。
私は湯を向こうへ押す。
すると回って戻ってくる。
つまり、私は儲けをどんどん人に与えた。
すると人も自分をさらに儲けさせてくれた。
多くの人は、儲けを自分だけにかき集めようとするから儲からない」
また、
「最もよく人を幸せにする人が、最もよく幸せになる」
という言葉を座右の銘にしていた実業家もありました。
世の成功者の考えは、大乗仏教の精神に通じているようです。

●無上の法に生かされた者は

次に、無上の法とはどんなことでしょうか。
『法華経』も『華厳経』も『涅槃経』も大乗の教えですが、
すべての人が真に救われる、無上の法はただ一つ。
『大無量寿経』に説かれている阿弥陀如来の本願です。

大乗の中の大乗、無上仏の本願に救い摂られ、
無碍の光明界に雄飛させられた人は、

「他力の信をえんひとは
仏恩報ぜんためにとて
如来二種の廻向を
十方にひとしくひろむべし」
       (正像末和讃)

と親鸞聖人仰せのとおり、
真実の仏教を十方に広めるために、力尽くさずにおれなくなります。
救われた人はもちろんですが、いまだ信心獲得していなくても、
尊い仏法を知らされた人ならば、人に伝えずにおれません。

世間事でもそうでしょう。
どこのそば屋にも満足できなかった、大のそば好きが、
ある日ふと入った店で極上のそばに巡り会った。
以来、毎日のように通いづめているその人が、
そば屋のことをだれにも言わない。
そんなことがあるでしょうか。
「おいしいそば屋が見つかった。
あんな美味いそば、生まれて初めてだ。
あなたも一度行って食べてごらん」
顔中口にして、言わずにおれないのではないでしょうか。

●黙っておれる世界ではない

どの医者にも見放された難病人が、
絶望のふちで世界一の名医に巡り会い、
全快したらどうでしょう。
私は命拾いした。
同じ病気で苦しんでいる人を知っているが、
名医のことは内緒にしておこう。
そんな人があれば、無慈悲な鬼というほかないでしょう。

まして仏法は、この世五十年か百年の肉体を救うどころではありません。
未来永劫の後生の一大事を救う教えです。
その無上の妙法を知りながら、宣説しないなど、考えられぬこと。

「私だけ聞いておればいい。人に勧めるのは、どうも・・・」
としり込みするのは、まだ仏法の妙味を知らされていないからです。
そばならば、味が分かっていないのです。
自分がおいしいと思えなければ、
他人に言う気にはなれないでしょう。
本当の味を知った人なら、じっとしておれません。
「私は救われた。だけど人には言いたくない」
などと黙っておれるような世界とは、ケタが違うのです。

●不可称・不可説・不可思議の世界

「でも、言って分かってもらえるものでもないし・・・」
それはそのとおり。
親鸞聖人は、
「不可称・不可説・不可思議の信楽なり」(教行信証)
とおっしゃっています。
こんな広大無辺な境地、不思議な世界、
説いても説いても大海の一滴も表せない、とても分かってもらえない。
しかし大乗精神は次が違います。
だからこそ、身を粉にしても骨を砕いても、言わずにおれない、
説かずにはおれない。
これが、ひとしく救われた者の真情なのです。

●無慈悲な人間が伝えずにおれなくなるのは

「しかし親鸞さまでさえ、無慈悲な人間とおっしゃっているではないか。
私たちに人間を助けるなどという大それたことができようか」
そんな声が聞こえてきそうです。
確かに聖人は、

「小慈小悲もなき身にて
有情利益はおもうまじ
如来の願船いまさずは
苦海をいかでかわたるべき」
とおっしゃっています。
「小慈小悲もなき身にて、有情利益は思うまじ」

慈悲のかけらもない親鸞。
他人に仏法を伝えて幸せになってもらいたいと願う心もない、
と告白されています。
しかし、この聖人の熾烈な懺悔のお言葉を聞いて、
“だから自分も無慈悲でいいのだ”
などと思うのは、大変な仏法の聞き誤りです。

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それなら聖人の、あの大活躍は何だったのか。
邪険な日野左衛門を、石を枕に雪をしとねに済度されたり、
剣かざして殺しに来た弁円に、命がけで法を説かれるなど、
なぜできたのでしょうか。
「如来の願船いまさずは、苦海をいかでかわたるべき」
それは全く、如来の願船、阿弥陀如来のお力だとおっしゃっています。
阿弥陀如来のお力で、小慈小悲もなき極悪人と知らされ、
そんな自分が極善無上の幸福に救われた時、
このご恩返しは身を粉にしても骨を砕きても済まぬと、
猛進せずにおれなくなるのです。
無上仏の大願業力によって動かされるのです。

だからこそ龍樹菩薩は、たとえ、その生涯が異教徒の迫害の中に
終わるとも、敢然と大乗無上の法を宣説されたのです。
龍樹菩薩の大活躍がなければ、親鸞は救われなかった。
この師教の洪恩、どうして忘れることができようぞ。
“大乗無上の法を宣説された”龍樹菩薩を、
親鸞聖人は褒めたたえておられるのです。

●自利利他の権化
龍樹菩薩が破邪顕正の一生を送られたように、
親鸞聖人もまた、自利利他の権化でありました。
聖人三十四歳といえば、法然上人のお弟子であった時です。
大乗無上の法、弥陀の本願を明らかにするため、
法友と三度にわたって大論争をなさっています。
三大諍論のいずれも、親鸞聖人が法友の誤りを黙認されていたら、
起きなかったものです。
恨まれようと、そしられようと、
阿弥陀如来の正しい御心を明らかにしなければ、
全人類が救われる唯一の道が閉ざされてしまうではないか。
どうして黙っておれましょう。

●十方にひとしくひろむべし

この精神を忘れ、我利我利の声聞根性に陥るとき、
仏教は急坂を転がり落ちるように衰退するのです。
幾ら素晴らしい教えがあっても、
宣伝しなければだれも分かりません。
“大乗無上の法を宣説された龍樹菩薩に我々も続こう。
十方にひとしくひろめようではないか。”
親鸞聖人の熱い御心が伝わってきます。


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