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どの宗派が後生の一大事解決できる教えなのか? [聖道仏教と浄土仏教]


いろいろな宗派があるのはなぜ?

お釈迦様の教えは一つのはずなのに、
なぜ仏教はいろいろな宗派に
分かれているのだろうか?
と思われる方は多いと思います。

それは、膨大な一切経の中で、
どれが釈尊の本懐経なのか
意見が分かれるためです。

華厳経が釈迦の本心であるとする華厳経、
大日経こそが釈迦の正意だとする真言宗、
解深密教だと言うのが、法相宗、
法華経だと言うのが、天台宗や日蓮宗です。
また、禅宗のように涅槃経を用いながら、
特によりどころの教典を立てないものもあります。

親鸞聖人は、
「それ真実の教を顕さば、
すなわち『大無量寿経』これなり」と言われ、
『大無量寿経』こそが、
釈迦の出世本懐経だと断定されています。


果たして真実の経は何か、
後生の一大事の解決を求める我々にとっては、
捨てておけぬ問題です。

それで過去から幾たびも法論がなされてきました。
法論とは、仏法上の争いのことで、
教典のご文を根拠にして、
どちらが正しいか論争することです。

大無量寿経か法華経か

中でも古来、最も問題になってきたのが、
『大無量寿経』と『法華経』です。

この二つはともに深法といわれる大事なお経です。

一切経の中でも、
深法とあるのはこの二つだけでしょう。
しかし、どの時代でも『法華経』に
軍配が上がったためしはなく、

常に『大無量寿経』が勝利を収めています。

法華経はすでに高い悟りを
         得ている者だけが救われる教え

仏教は対機説法(機=人間に対して法を説く)
といわれるように、
経典にはそれぞれ、説かれた相手があります。
法華経には、
「この法華経は深智のために説く、
浅識はこれを聞いて迷惑して悟らず、
一切の声聞及辟支仏(びゃくしぶつ)は、
この経の中においては、力及ばざるなり」

               (譬喩品)
とあります。
声聞及び辟支仏といった、
私たち凡夫とは比較にならないほど
優れた人たちにさえ、
助からぬと説かれているのです。


また『法華経』を行ずる人が、
必ず守らなければならない
三つの規則「室、衣、座の三軌」があります。

○室・・・一切の人に大慈悲を持って接すること。
○衣(え)・・いかに苦しいことでも笑って忍ぶこと。
○座・・・一切のものに対する執着を絶つこと。

いかに実践が難しいかわかると思います。

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●千日回峰行

比叡山は『法華経』の教えに従い、
修行しようとする天台宗の山です。
今は観光地になっていますが、
それでも千日回峰行なる荒行が残っています。

起床は真夜中の二時。
頭には蓮華笠をかぶり、
白い麻の装束に草鞋履き、
山の上から下までの行者道を約三十キロ、
飛ぶようなスピードで移動します。
この間、約三百カ所で所定の修行をし、
五時間ほどで戻ってくるのです。
むろん、悪天候でも、病気やケガをしても
休むことはできません。
もし途中で挫折したら持参の短刀で自害するのが
山のおきてになっていました。
江戸時代には多くの修行者が自害しています。
途中の七百日の中には、
九日間の断食、断水、不眠、不臥という
過酷な行もあります。
さらに八百一日目から百日間は
「大回り」をやります。
山を下りて、京都の修学院から
一乗寺、平安神宮、祇園と
一日八十四キロを十七、八時間で
回る生死関頭の苦行です。
千日間で踏破する距離は、およそ世界一周。
開山以来約千二百年間、
この難行を完遂した者は三百人に満たず、
戦後わずか八人。
文字どうりの命がけの修行です。
しかもなお、仏覚にはほど遠い初歩なのです。

すべての人に説かれた『大無量寿経』

『法華経』には、この経は「最第一」であるなど、
極めて大切な教えであることが説かれています。
しかし、どんな高尚な教えがあっても、
私たちが真に救われるものでなければ、
絵に描いた餅になってしまいます。

それに対して『大無量寿経』に説かれている
阿弥陀如来の本願の相手は
「十方衆生」です。
十方衆生とは、
大宇宙の全ての生きとし生けるもののこと。
相手構わず、どんな人も救い摂る法なのです。
親鸞聖人も、九歳で出家されてより二十年間、
比叡山で仏道修行に打ち込まれましたが、
天台法華の教えに絶望され、
「救われる教えにあらず」と下山され、
弥陀の本願に救い摂られています。
聖人でさえ、かくのごとしです。

では、なぜ誰も実行できないような教えを
釈尊は説かれたのでしょうか。
自分でやろうと思えば何でもできると
自惚れている心が自力の本性であり、
迷いの親玉です。
自力無功を知らせ、
真実の救いに導くために
方便の教えが必要だったのです。


「法華経を信じえない者の為には、
如来の余の深法を教えよ」

         (法華経嘱累品)
このお言葉からも、『法華経』は、
『大無量寿経』真実へ送り込むための
方便経であることがはっきりします。


(法然上人)

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法然上人の大法論「大原問答」

全ての人が救われる法、
弥陀の本願を明らかにするため、
七高僧のご苦労は
並大抵ではありませんでした。

(七高僧とは弥陀の本願を
正しく伝えられた方々で、
親鸞聖人が大変尊敬されて、
正信偈にお書きになられている方々です。
龍樹菩薩、天親菩薩、曇鸞大使、道綽禅師、
善導大師、源信僧都、法然上人
です。)

七高僧のご苦労の一例を挙げます。
親鸞聖人の師・法然上人は、
我が国始まって以来の大法論をなされています。
場所は京都大原の勝林院。
世に名高い「大原問答」です。

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聖道門と浄土門、いずれが真実か。
日本国中の学者が集まり、
火花を散らしての問答がありました。


釈迦一代の仏教を大きく分けると、
聖道門と浄土門の二つになります。
聖道仏教は自力の修行で仏になろうとする教えで、
天台宗、真言宗、禅宗などを指します。
これに対し、
阿弥陀如来の本願以外に
我々の助かる道はないと教えるのが、
浄土仏教です。


聖道門側は、比叡山、高野山、京都、奈良の
名立たる僧侶三百八十余人が論陣を張り、
それらの弟子僧二千余人が
勝林院を埋め尽くしたといいます。


対する浄土門側は、法然上人ただお一人。
身の回りをする弟子が、
わずかに同行するだけでした。
「もしお師匠さまが一言でも詰まられたら・・・」
とガタガタ震える弟子たちに、
上人はにっこりほほえまれ、
この法然は幸せ者じゃ。
今日一日の問答で、
天下の学者たちを弟子にできるとは。
弥陀の本願を明らかにする、
またとない好機だ。

とおっしゃったといいます。

四十三歳の時に、
阿弥陀仏に救われた法然上人は、
大自信にあふれておられました。

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救われる唯一の道は、弥陀の本願

まず、聖道門から切りだす。
「浄土門が、聖道門より優れているとは、
どういうことか」

釈尊の教えに優劣はないが、
法は何のために説かれたものか。
衆生の迷いを転じて、
仏覚にいたらすためである。
衆生を救う点において、
浄土門のほうが優れておる。

二千余の学僧がどよめく。
「これは聞き捨てならぬことを」

法然上人は静かに答えられた。
「聖道門は、人を選ぶではないか。
経典を学ぶ知恵のない者、
修行に耐える精神力のない者は
求められない。
欲や怒りがおさまらない者は
救われないということだ。」

「いかにも・・・」

「さらに、厳しい戒律がある。
完全に実行できる人はどれだけあるのか。
大衆のほとんどは、救われないではないか。」

「・・・・・」

しかし、浄土の法門は違う。
欲のやまぬ者も来い、

愚者でも智者でも、善人悪人、男も女も、
全く差別がない。
平等に救われるのだ。

なぜならば、阿弥陀如来が、
全ての人を、必ず救い摂ると、
本願を建てられておられるからじゃ。

しかも、末法の今日、
聖道門の教えで救われる者は
一人もいないのだ。

「何を、たわけたことを」

末法の今日、自力の修行では
一人も悟ることはできないと
釈尊は説かれている。
これに対し、『大無量寿経』に説かれている
弥陀の本願は、いつの時代になっても、
しじゅう変わらず、
一切の人々を救うと説かれている。
されば、全ての人の救われる道はただ一つ、
浄土の一門のみであることは
明らかではないか。」

「・・・しかし、阿弥陀如来以外の仏や菩薩に向くなとは、
言い過ぎではないか」

釈尊は『大無量寿経』に、
一向専念無量寿仏と説かれている。
これは、あらゆる諸仏、菩薩、諸神を捨てて、
一向に専ら、阿弥陀仏を念ぜよ、
ということである。

「ううむ・・・」

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

問答は一昼夜に及びましたが、
法然上人は、いかなる難問にも、
よどみなく答えられ、
全ての学者を論破されたのです。
聖道門の学者たちは、
心から法然上人の高徳に伏し、
「智恵第一の法然坊」「勢至菩薩の化身」
たたえられたといいます。
阿弥陀如来の本願の素晴らしさを知らされた
二千人の大衆は、
異口同音に念仏を称え、三日三夜、
その声が山野にこだましたといわれます。

法然上人、五十四歳のときでした。

法然上人のみならず、善知識は皆、
全人類の救われるただ一本の道、
弥陀の本願徹底に生涯をささげられたのです。

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