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我々は死刑前夜のパーティで浮かれている。 [阿弥陀仏]

  (真実の仏教を説いておられる先生の書「とどろき」より載せています。 

重誓名声聞十方(重ねて誓うらくは、「名声、十方に聞えん」と)
                    (親鸞聖人・正信偈)

今回は、この一行について学びましょう。
これは、
「重ねて誓うらくは、『名声、十方に聞えん』と」
と読みます。
「重ねて誓う」とは、
「阿弥陀仏が、重ねて約束なされている」
ということです。

本師本仏の阿弥陀仏は、
「すべての人を
平生に必ず助ける
絶対の幸福に」
と、凄いお約束をなされています。

これを「阿弥陀仏の本願」といわれます。
「本願」とは「誓願」とも言われるように、
「約束」のこと。
『歎異抄』冒頭に「弥陀の誓願」と言われているのも、
この「阿弥陀仏の本願」のことです。

約束には、必ず相手がありますが、
阿弥陀仏の約束の相手は、「十方衆生」。
すべての人と、誓われているのです。
この中に入らない人は、一人もありません。

今、キリスト教を信じている人も、
イスラム教の人も、ユダヤ教の信奉者も、無宗教の人も。
アメリカ人、イギリス人、日本人、
中国人、アフリカ人も、すべて。
相手構わず、一切差別のない
「弥陀の本願」ですから、
『歎異抄』には、

弥陀の本願には老少善悪の人をえらばず(第一章)

と説かれています。
男も女も、老いも若きも、慈善家・殺人犯、
頭の善し悪しなどは、まったく関係ない。
阿弥陀仏は、古今東西の全人類と、
約束されているのです。
しかも、その内容が凄い。
「死んだらお助け」ではありません。
「現在ただ今」救い摂る。

どんな極悪人も、平生の一念に、
「絶対の幸福」に助け切る

という、とてつもないことを誓われています。
こんな約束のできる方は、
大宇宙に無数の仏方ましませども、
本師本仏の阿弥陀仏だけ
ですから、
親鸞聖人は「弥陀の本願」を「無上殊勝の願」とか
「希有の大弘誓」と、『正信偈』に絶賛されています。

生きるのは、変わらぬ幸せになるため

ここで、「必ず救う」と弥陀が誓われている、
「絶対の幸福」とは、どういうことでしょうか。

生きる目的は幸福だパスカルも言います。
自殺するのも楽を願ってのことであり、
政治も経済も、科学、医学、すべての営みは、
幸せのほかにはありえません。
これに異論を唱える人はいないでしょう。

ドラマでも、事件が落着してようやく
娘の家庭に平穏が訪れた時、
親父さんが娘の両手を握って、
「いいか、○○子、この幸せ、離したらアカンで!!」
と語るシーンがありました。

人は皆、不幸や災難を厭い、
安心や満足を求め、手にした幸せは
いつまでも続いて欲しいと願って、
生きているのです。

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ところが、私たちの追い求める喜びは、
変わり通しで、やがては苦しみや悲しみに変質し、
崩壊、無に帰することさえあります。
恋のトキメキや結婚の喜びは、どれだけ続くでしょう。

相手がいつ病や事故で倒れたり、
変心して破鏡の憂き目にあうかも知れません。

幸せは、指の間から砂がこぼれ落ちるように消えていく。
最愛の人との突如訪れる離別や死別。
生涯かけて築いた家もマッチ一本で灰になり、
昨日まで団欒の家族の家庭も、交通事故や災害で、
「まさか、こんなことになろうとは・・・」
天を仰いで茫然自失。

辛い涙の現実が溢れてはいないでしょうか。

中国四川省の大地震は、深刻な被害をもたらしました。
崩壊した校舎の瓦礫を前に、
見つからぬ我が子の名を呼び続け、
泣き叫ぶ母親の映像に、
誰もが胸ふさがる思いをしたでしょう。

岩手・宮城内陸の震災でも、
「何もかも無くなってしまいました」
と嘆く被災者が映し出されていましたが、
決して他人事ではありません。
瓢箪の川流れのように、
今日あって明日どうなるか知れぬ幸福は、
薄氷を踏む不安がつきまといます。

たとえしばらく続いても、死刑前夜のパーティーで、
総崩れの終末は、悲しいけれど避けられません。

まことに死せんときは、
予てたのみおきつる妻子も財宝も、
わが身には一つも相添うことあるべからず。
されば死出の山路のすえ・三途の大河をば、
唯一人こそ行きなんずれ 

                    (御文章)
病にかかれば妻子が介抱してくれよう。
財産さえあれば、衣食住の心配は要らぬだろうと、
日頃、あて力にしている妻子や財宝も、
いざ死ぬときには何一つ頼りになるものはない。
一切の装飾ははぎ取られ、独り行く死出の旅路は丸裸、
一体、どこへゆくのだろうか

蓮如上人の警鐘乱打です。

風前の灯火のような幸せ求めて、
今日も人はあくせく苦しんでいる。
悲劇の滝壺に向かっているすべての人を、
阿弥陀仏はご覧になられて、
「なんとしても助けてやりたい。
絶対に崩れぬ大安心・大満足の身に、必ず救い摂ってみせる。
若し平生に、真っ暗闇の心を、
絶対の幸福に生まれ変わらせることができなければ、
この弥陀は仏のさとり(正覚)を捨てる」
(若不生者不取正覚)
と、「平生の救い」に命を懸けて誓われているのが、
「弥陀の本願」です
から、
親鸞聖人は「若不生者のちかい」とも讃嘆されているのです。

この誓いを果たすために、
阿弥陀仏が大変なご苦労をなされて完成されたのが、
「南無阿弥陀仏」という六字の名号です。

重ねて誓われたのは、疑心を晴らすため

阿弥陀仏は、こう誓われています。

「すべての人を絶対の幸福にする力のある
『南無阿弥陀仏』の名号を、必ず作ってみせる。
私の完成する名号の素晴らしさを、
大宇宙にただ一仏でも、
褒めない仏さまがもしあるならば、
私は仏のさとりを捨てる」

大宇宙のすべての仏(十方諸仏)が褒め称える「名号」とは、
十方諸仏が“助けることができない”と見捨てたすべての人を、
助ける力のある「名号」のこと。

釈迦も、大日如来も、薬師如来も、
ビルシャナ如来も作ることができない「名号」、
十方諸仏の誰も成就できない、
そんな「南無阿弥陀仏」を完成させてみせると、
弥陀は命を懸けて約束されているのです。

ところが、そう聞いても、迷いの深い私たちは
「本当だろうか、そんなことができるのだろうか」と疑う。
そこで阿弥陀仏は重ねて、
「必ず、名号を作ってみせる。間違いなく完成させるぞ」
と誓っておられる
ことを、
親鸞聖人は『正信偈』に、
「重誓名声(みょうしょう)聞十方」
(重ねて誓うらくは、「名声、十方に聞えん」と)
と教えてくださっているのです。

「名声(みょうしょう)」とは、
「南無阿弥陀仏」の名号のこと。
「十方に聞えん」とは、
「その名号の素晴らしさを、大宇宙のすべての仏に、
褒め称えさせる」ということです。

それは、大宇宙のすべての人(十方衆生)に
名号の大功徳を聞かせ、受け取らせて、助けるため。
ですから、
「重ねて誓うらくは、『名声、十方に聞えん』と」
とは、
阿弥陀仏は、十方諸仏の褒め称える『南無阿弥陀仏』を、
必ず作ってみせる、
と命を懸けて約束されているのだ。
『絶対に間違いない、必ず完成させる。
そして苦しみ悩むすべての人に、その功徳の宝を与えて、
絶対の幸福に救ってみせる』と、
重ねて誓われているのだよ」
と仰っている、親鸞聖人のお言葉です。

名号は、すでに完成されている

では、阿弥陀仏は、約束されているとおりの「南無阿弥陀仏」を、
もう完成されているのでしょうか。
お釈迦さまは、こう証言されています。

十方恒沙の諸仏如来、皆共に無量寿仏の
威神功徳の不可思議なるを讃歎したまう

            (大無量寿経)

大宇宙にましますガンジス河の砂の数ほど沢山の仏方が、
異口同音に、阿弥陀仏の作られた『南無阿弥陀仏』に名号の、
想像できない大功徳を褒め称えておられるのだ」
このとおり、すでに阿弥陀仏は「南無阿弥陀仏」
を完成されていることが分かります。

お釈迦さまのお言葉ですから、間違いありません。
親鸞聖人は、弥陀が完成なされた、
私たちを一念で絶対の幸福に救い摂る、
この「六字の名号」の大功徳を、
「功徳の大宝界」とか「本願の大智海」とも
『正信偈』に讃嘆され、蓮如上人は平易に、
こう詳解されています。

南無阿弥陀仏」と申す文字は、
その数わずかに六字なれば、
さのみ功徳のあるべきとも覚えざるに、
この六字の名号の中には、
無上甚深の功徳利益の広大なること、
更にその極まりなきものなり

                (御文章)

「『南無阿弥陀仏』といえば、わずかに六字だから、
それほど凄い力があるとは誰も思えないだろう。
だが、この六字の中には、私たちを最高無上の幸せにする
絶大な働きがあるのだ。
その広くて大きなことは、天の際限のないようなものである

医者が薬を作ったのは、患者に与えるため

ところが、いくら素晴らしい「南無阿弥陀仏」が完成されていても、
私が受け取らねば、私は助かりません。

ちょうど、どんな病気でも治す力のある薬がすでに完成していても、
患者がそれを飲まなければ、病気は治らないのと同じです。

医者が薬を作るのは、それを患者に与えて、
患者の病気を助けるためだからです。
阿弥陀仏が、無上の宝である「南無阿弥陀仏」
を作られたのは、私たちに与えて、
「絶対の幸福」に救うためです。

では、どうすれば、私たちは「南無阿弥陀仏」の大功徳を、
阿弥陀仏から受け取らせていただけるのでしょうか。

それ一つを説かれたのが仏教であり、
仏教の真髄を明らかにされた親鸞聖人です。

『正信偈』には、その聖人九十年の教えが、
圧縮されています。
次号、解説を続けましょう。

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