一切経を読み破るとはどういうことか!? [蓮如上人]
(蓮如上人・親鸞聖人の教えを一器の水を一器に移すかのごとく正確に、日本中に広められた高僧)
浄土真宗でもっとも大切なことは、
信の一念である。
「信の一念」とは、平生に阿弥陀仏の本願に救い摂られて、
現在ただ今が、光明の広海、絶対の幸福になった瞬間の体験をいう。
「一念」とは、「時剋の極促」きわめて短い時間である。
蓮如上人は『御文章』の五帖目二通に、
「あながちにもろもろの聖教を読み、
物を知りたりというとも、一念の信心のいわれを知らざる人は
徒事(いたずらごと)なりと知るべし」
と仰せられ、万巻の仏教書を読破した大学者といえども、
阿弥陀仏に救われた信の一念の体験がなければ、
いたずら事だと、言い切っておられる。
それをまた、
「それ八万の法蔵を知るというとも、
後世を知らざる人を愚者とす。
たとい一文不知の尼入道なりというとも、
後世を知るを智者とす」
と、五帖目二通で仰せられ、
釈尊の遺された経典のすべてを読破しても、
信の一念の体験がなければ愚者であり、
無学文盲の人といえども、弥陀の本願に救われて
「いつ死んでも浄土往生間違いなし」
と後生未来のはっきりしている人こそが、
真の智者であると仰った。
信の一念を体験した真の智者には、
体験のない学者は到底、太刀打ちできない。